半期の授業設計ワークショップ
2022年7月20日(水)20:00-22:00 場所 Zoom
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2021年7月21日(水)20:00-21:30 場所 Zoom
教員の実践力向上のための理論的な裏付けと具体的対応について全国で活躍するファカルティ・ディベロッパー(FDer)から学ぶ。
学生の思考を促す教授法
・発問とは何か
・発問の種類と工夫
・発問と指示の組み合わせ
・本質的な問い
・さまざまな発問の枠組み
・カリキュラムの視点
監修・統括責任者/髙橋光輝 学部長
1、講師紹介
2、ゲスト講演:学生の思考を促す教授法
(中井俊樹氏 )
3、質疑応答
教員が相互に各自の指導方法を共有し、そこから得た情報を指導力向上の一助とし、デジタルハリウッド大学・大学院全体の教育効果を高める。
※FDとは?
■Faculty Development
Faculty = 教える立場にある人 教員、教職・員
Development = 成長、発展
『学生の思考を促す教授法』
【講師】愛媛大学 教育・学生支援機構 教育企画室 教授 中井俊樹氏
発問とは何か
指導者が学習者に対して教育的な意図をもって問う伝統的な教育技法とする発問について実際に参加教員に画等を用いて発問し、人は聞かれると答えを知りたくなる(考えたくなる)ということについて実体験させた。また、質問と発問の違いや発問の機能について説明し、発問が学習意欲に結びつくこと、問うことで学生の思考を促すことが重要と説いた。日常の授業でどれほど発問しているかなど意見交換された。
発問の種類と工夫
発問には様々な種類と類型があり、具体的な文章を用いて紹介した。デビルズ・アドボケイトと呼ばれる、議論を深めるためにあえて反対意見を言う方法なども紹介された。発問時には簡潔な表現で誤解を与えない表現が良いとされ、学生には考えるための時間をしっかり与えることが重要であるとし、また学生への詰問に注意することなども学生との信頼関係を保つ秘訣であると説いた。
発問と指示の組み合わせ
発問だけで終わるのではなく、指示によって学生のアウトプットを促す方法の一つとして、発問に合わせて使用できるコミュニケーションカードなどのツールやツールを用いた実践例なども紹介された。学生の学習については、書く活動の意義を説明し、ワークシートやディスカッション用シートを活用し、学生の書く力を思考に取り入れるということについて説いた。コロナ禍により遠隔授業が恒常的になりつつある現代社会において学生のモチベーションを保ちつつ、より質の高い授業を行うため、発問を用いた工夫などを紹介した。
本質的な問い
「学生に何を考えさせるか」ということが各教員が工夫できるポイントである。本質的な問いの考え方と例を紹介し、実際に「本学学生に最も考えさせたいと考える本質的な問いは何か」「学生に本質的な問いを発問として投げかけているか」いう講師の発問に対し、参加教員から多くのコメントがあった。これに対し、学生に対して何を考えさせるかが重要であり、本質的な問いを考えさせる学習を取り入れることの重要性を説いた。
さまざまな発問の枠組み
発問の方法としていくつかの方法と例を紹介し、体験学習を支援する立場として、➀過去から未来 ②具体・抽象・具体
③事実と感情 の三つの側面を生かした発問(体験学習を促す発問)について、看護学校での一例を紹介した。教員が発問によって学生に対してこうすればよいというものではなく、基本的には学生の思考を引き出すことが目的であることを説いた。
カリキュラムの視点
カリキュラムの設計において、スコープとシーケンスの方法や例を紹介した。また組織的な課題として、カリキュラム全体の学習を階段式に身に付けさせること、ディプロマポリシーに至るまでの課程を4年間でどう高めていくかということを議論する重要性を指摘した。1つの授業にとどまらずカリキュラムの視点で学生の思考の発展を位置づけることが重要であると説いた。
教員A:100人の授業で質問をすると100個の答えが書き込まれて、その後、どう話をまとめるか迷います。全部読んでいくと時間がかかりすぎる。訂正や意見などをすべて個別に返すのも技術的に難しい。回答収集後なにかいいまとめ方がありますか?
⇒答えが個人の色が出せるものなのか、明確なものなのかによるが、議論に向いている問いであれば答えを分類化してあげると議論が進む。学生同士で議論させることも良い。
代表的な答えを上げるか学生同士で議論させるかがよいのはないか。
教員B:イメージとして出来るものもあるが、講義に対して発問を加えることに対して、質問の数によってどのような効果が出たのか。発問の種類によってはどうなのか。講義の運用方法とその学習効果に対してなんらか効果測定をしたデータはありますか。
⇒回数と学習の成果は一定程度データはある。
一般化しづらいが説明だけでは学生の集中力が保たれないというデータは出ている。
何を教えるかにもより、個人差もある。
教員C:知らないことを聞かれること、あるいは、個人的な感想を回答することに恥を感じる学生がいますが、そういう学生はアンケートなどを使えば発問への回答に慣れて行くものでしょうか?
⇒現代の学生は小中高の段階で自分の意見を言うということに割と慣れているのではと感じる。
重要なのは最初の発言はハードルを下げること、考える時間をしっかりとること。
教員D:若くて未完成な学生さんだと、本質的な問い(人生の価値や、世界的な問題)に向き合いすぎると、鬱になったり不登校になったりしませんでしょうか?また関連して、集団の中でこのような信条に関わる質問に「答えない」という信念を持っている学生に出会ったことはありますでしょうか?
⇒本質的な問いを最初からするのではなく、ステップを作って発問していくのが良い。問いの順番を等大切にする。
教員E:発問に際し、留学生に対する配慮というのは何かあるでしょうか。
⇒ 分かりやすい日本語で発問することが大事。
個人の意見を大切し、カテゴリー化しない。
教員F:医療者に対してプログラミング演習をしています。演習系の授業では知識伝授が主体になりがちです。演習系の講義では発問をどのように活用するといい、などのノウハウはありますか?(プログラムが動かない、というトラブルシューティングはありますが、本質的な問いに切り込んでいきたいです。)
⇒知識の活用する演習系の授業での発問はフィードバックが大事。
教員G:オープンエンドの質問が苦手な学生が増えているとおもいますが、どのような指導や準備プロセスなどで、積極的に考えさせるやり方などについてアイデアがありましたら教えてください。
⇒始めはクローズドの質問や簡単な質問からしていくこと。質問のレベルを下げ、時間を取る、書く時間を取る等工夫していけばよいのでは。
徳永:これまで指導してきた学生に関して言えば、本質的な問に対峙する力って、結構あるなあという感想です。ゼミでは、この部分に半年くらいかけている感じです。
⇒このような教育は大事だと思っている。今後のキャリアにも大事だと思う。
教員H:発問の回数をアンケートされたときに、ふと考えたのですが、どこまでが発問なのか?というのでふと悩んでしまいました。 ただ単に疑問形にして議題提示するだけでは発問ではないですよね。
⇒必ずしも疑問形ではない。思考を促すかどうかが一番大事でそれが次の学習に繋がっていくかどうかを意識する。
教員I:アクティブラーニングで反転学習が一時期流行ったが、明らかに正誤が分かるような問いに対しても間違った知識を展開していくような受講者またはそのような事例は実際にあるのか。
⇒知識提供をどれだけ上手く作成し、評価するか。機能させるようにするには、ワークシートにまとめるようにさせたり、インプットしたことが分かるようなアウトプットを含めて事前学習にするようにすると教員も把握できるのでは。