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教員研修

2021年11月17日(水)20:00-21:30 場所 Zoom

教員研修

シラバスの書き方WS

2021年度教員研修テーマ

教員の実践力向上のための理論的な裏付けと具体的対応について全国で活躍するファカルティ・ディベロッパー(FDer)から学ぶ。

本日の内容

『シラバスの書き方WS』
・本日の到達目標と流れ
・シラバスとは何か
・到達目標の位置づけ
・「授業の目的」と「到達目標」の書き方
・「成績評価方法」と「授業外学修課題」 等

ナビゲーター

監修・統括責任者/髙橋光輝 学部長

本日の進行

1、講師紹介
2、ゲスト講演: シラバスの書き方WS
(榊原暢久氏)
3、質疑応答

教員研修の目的

教員が相互に各自の指導方法を共有し、そこから得た情報を指導力向上の一助とし、デジタルハリウッド大学・大学院全体の教育効果を高める。

※FDとは?
 ■Faculty Development
  Faculty = 教える立場にある人 教員、教職・員
  Development = 成長、発展

ゲスト講演

『シラバスの書き方WS』
【講師】芝浦工業大学教育イノベーション推進センター
榊原暢久氏(ファカルティ・ディベロッパー、SDコーディネーター)

シラバスとは何か
参考資料より、シラバスの定義について説明がなされた。
その中で、シラバスの役割を説明し、Webシラバスの項目例の紹介があった。

到達目標の位置づけ
シラバス内での「到達目標」の重要性について説き、授業の到達目標は授業とは別に独立に存在するものではなく、各科目のシラバスの到達目標は学科や学部のディプロマポリシーに紐づいてなければならないことや、ディプロマポリシーを学生が達成できるように各科目が配置されているという関係性についても説明がなされた。建学の理念や大学全体のディプロマポリシーとシラバスは繋がっている重要なものであることを改めて説いた。
さらに、昨今、学習成果の可視化や達成の根拠づけが求められるようになってきており、認証評価の観点から、ディプロマポリシーと各科目の関係性をより意識すべきであるとのアドバイスがあった。
その後、各参加者が持参したシラバスにおいて、以下の点についての個人ワークをおこなった。

・担当科目が本学のディプロマポリシーのどの部分を達成するために存在しているのかの確認
・担当科目の前提となる、あるいは関わる科目の到達目標の確認

個人ワークのあと、主に一年前期に履修する基礎的な科目については、高校の学習範囲の影響を受ける科目もあり、関連科目のシラバスを確認するとともに、高校の学習過程についても留意することの説明がなされた。

「授業の目的」と「到達目標」の書き方
「授業の目的」
目的はその授業の存在意義や、学生がなぜこの授業を履修するのかという問いに対する答えを学生を主語として記載することが説明された。
その中で目的の記載の良い例と悪い例を紹介し、目的の記載の際によく用いられる動詞は総括的な概念をもつ動詞であり、その一例の紹介がなされた。

「到達目標」
ディプロマポリシーと直結する到達目標はシラバスの根幹であること、成績評価項目と一致しなければいけないことを述べた上で、到達目標を見れば、どのように評価されるかがある程度予想できるように設定することを教示した。また、到達目標と成績評価項目が一致することにより、学生が授業終了後のイメージを具体化することができ、学生の自学自習に促すことにつながるとの説明がなされた。
具体的な記載方法については、学習者を主語にして、観察可能な行動で表現することや、一つの文章に一つの目標、知識・技能・態度の三領域を意識することなどが重要であると説いた。その中で、学習目標に使用する動詞について、三領域ごとに一例が紹介された。

その後、以下の例題のシラバスの到達目標についての問題点を一人ずつ発言し、書き直しの例をメンバーで考察するグループワークを行った。

(1)微分積分の基礎をマスターさせる。(知識領域)
(2)機械部品をスケッチできる。(技能領域)
(3)技術者として、他社との議論を楽しむことが出来る。(態度領域)

グループワークのあと、各グループ内で会話したことの共有がなされ、講師より問題点と書き直し例についてそれぞれ回答がなされた。

そののち、個人ワークにて、自身が担当する授業のシラバスに掲げる到達目標を確認・修正を行ったのち、グループワークにて自身のシラバスの修正点を共有し合った。

「成績評価方法」と「授業外学修課題」
「成績評価方法」
講師より到達目標を学生に意識させる方法の一例が紹介され、評価に関わる情報の書き方として、「到達目標」=成績評価項目であり、試験日や提出期限の明記やWeb授業であればなおさら評価項目を複数にし、配分割合を明記することにより、より学生に計画的な学修を促すことができるとの説明がなされた。
評価方法の一例として、コンセプトマップやラーニング・ポートフォリオ、ルーブリック表などの紹介がなされた。ルーブリック評価表については、学生へも渡し自己評価を記入したうえで教員の評価を付け返却するようにすると、講師自身も評価に費やす時間が短縮されたことを述べた上で、短時間で効果的に学生にフォードバックできるように参考にほしいと補足がなされた。

「授業外学修課題」
スケジュール、授業外学修課題については、無理のない進度で分かりやすい流れが必要だと説いた。
また、履修条件や受講ルールについては、記載することで学生とのトラブル回避につながることを述べ、教員の常識と学生の常識は一致しないことを念頭におくことが重要であると説明した。
教材については、絶版でないもので、図書館等で容易にアクセスほうが授業外学修を促すこと
を教示した。
オフィスアワーや連絡先については学生がアクセスしやすいことが重要であり、訪問の壁を低くするのも一つの方法であると説いた。
さらに、学びの自己管理として、資料配布方法・課題提出のルール、欠席・遅刻の扱い、成績状況を明記することで学生の学びの自己管理を促すことにつながることを説明し、学びの支援となる情報(参考図書、メールアドレス等)を明記するとより学生が自己管理しやすいとのアドバイスがなされた。

最後にシラバス作成の参考資料として、講師所属大学のシラバスガイドやシラバスシステムについての紹介がなされた。

教員A:学生の進捗によってシラバスに記載の内容を授業で変更しなければいけない際、学生に説明が必要なのか。
→到達目標、評価方法、評価割合は変更不可であり、進行は〇〇の事情により変更となるということを口頭で説明すればよい。変更について学期の最初から分かっているのであれば、最初に伝えるとより良い。

教員B:学生の授業態度、姿勢について、演習科目で講義中の態度や姿勢を見すぎると声が大きい学生に着目しがちだが、演習授業なので、成果物を重点的に評価したほうが良いとおもっているがそれについてはどうか。
→シラバスの到達目標次第である。シラバス内で身に付けるべき態度を記載しているなら評価すればよいし、記載していないならそれについては評価しないでよい。

教員C:評価において知識・技能・態度の三領域を必ず入れなければいけないということではないということか。事例等は?
→大学機関によって異なり、全ての授業において知識・技能・態度の三領域の目標をいれることと規定されている大学もあれば、規定されていない大学もある。
大学ごとに判断すればよいが、ディプロマポリシー内で知識・技能・態度の三領域が必ず入っているので、態度を育成する授業が必ず存在すべきであり、その授業で保障されなければならない。

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